小橋めぐみ presents Film column vol.1 映画「アイムノットゼア」

Up Date: 2008/4/4
ボブ・ディランとは何者なのか、その答えは風に舞っている―――。

Column by 小橋めぐみ

風に舞う答えを、少しずつ手のひらに掴んで散りばめたような映画、 「アイム・ノット・ゼア」

詩人・無法者・映画スター・革命家・放浪者・ロックスター。
この全てが当てはまる多面体のような人物ボブディランを、6人の豪華キャストが6通りに演じる。そんな斬新なアイディアで独特の映像世界を作り出したのは、米インディーズ映画界の鬼才と言われる、トッドヘインズ監督。
「ディランの真実を描くには、“フィクション”を通して描かなくてはいけないと思っていた。」と、語っている通り、放浪者の子供時代を黒人の男の子が、フォークと決別したロックスターを ケイトブランシェット が演じているのだが、それがまた、変貌自在なディランの一面を発見することになる。

映画は、6人のディランが年代順に登場するのではなく、時間軸を無視して、ストーリーが展開されてゆく。
「まるで昨日と今日と明日が同居しているようなもの」という台詞があるが、過去と現在と未来を自由に行き来できるディランだからこそ、
あのような素晴らしい歌詞を書き、歌を歌うのかもしれない、と思った。

歌はひとりでに歩き出し、街を超え、時代を超え、私たちのもとへ届く頃には、彼はもう別の道を歩き始めている。

6人の俳優たちが演じ、彼に迫ろうとしても、
ひょいと風にのって、どこかへ行ってしまう。
アイム・ノット・ゼア ―――。

私はここにいない。

そんな彼の声が聞こえてくるような気がした。
やっぱりボブディランは、凄い!!

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Column: Megumi Kobashi   Copyright: 2007 VIP Medienfonds 4 Gmbh & Co. KG/All photos - Jonathan Wenk
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